ヤマグルマのバターナイフ

先日ともだちが屋久島に遊びに来ていたので一緒に島のあちこちを巡る中、島の南部にある木工のアトリエ、FLOWERSさんに立ちよりました。

お店の中は、屋久島の木を使った小物でいっぱい。
たくさんの造形の数々に私も大興奮!
鼻息を荒くしながら物色していると、バターナイフが目につきました。
何本か並べられているそれらは、一つ一つ違う木目と色あいです。
一本一本、違う樹種で作られているとのこと。
並んでいるその中で、ひと目惚れして手にとったのは、「ヤマグルマ」という木で作られたものでした。

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ヤマグルマといえば、屋久杉の森では絶対に目にするなじみ深い樹木です。
スギにくっついて生える事が多く、生きているスギの他、切り株や倒木にもべっとりとくっついてまるでアメーバのように自由自在に枝を伸ばして生きる姿はインパクト大で、私もガイド中にヤマグルマの話は何度したことか。
ヤマグルマはまた、樹皮からトリモチが採れる事でも知られ、屋久島でもかつてはトリモチを採っていたそうです。

そういう性質を見ただけでもなんだか柔らかくて粘りのある木なんだろうなあと想像がつきます。
FLOWERSさんによると、ヤマグルマは柔らかい木なので通常はカトラリー類は作らないのだとか。

そんな木の性質がどうこうの理屈抜きで、結局はただただそのフォルムと木目と色が「これステキ!」と感じた第一印象のみでと選んだヤマグルマのバターナイフでしたが、翌日使ってみて感動。

ピーナッツペーストがベールのように薄くなめらかにどこまでもどこまでも伸びる感じ。
パンの表面に当たる感触も、パンを決して傷つける事がなく物腰柔らかで、
また手に握った時の持ち具合や長さも素晴らしく、なんだか楽器を手にしているような豊かな気持ちになりました。

なんだかほめ殺しですが(笑)、私自身もバターナイフひとつでここまで感動するとは思ってもおらず、大満足なお買い物になったというわけです。

普段ガイドでは木というものは森の中に生えている姿で触れていますが、木材になった姿や性質はなかなか意識することが少ないのです。
いつも姿を見ていたヤマグルマがまた一歩親しい存在になった気がしました。
そして、毎朝バターナイフから森の中のヤマグルマの姿を思い浮かべることができるなんて幸せだなあとも。

FLOWERSさんのブログにバターナイフのことが書かれていますが、木を単なる素材として見るのではなく、そこには深い深い樹木への「愛」が感じられて嬉しくなります!
by office-manatsu | 2010-12-21 12:24 | 旧スタッフ
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