貴重な時間。貴重な体験。

屋久島の南、湯泊(ゆどまり)という集落に
”杜の家”というアロマとハンモックのお店があります。

3年前の秋。ちょうど今頃だったのか、初めて遊びに行きました。
そこには「おじじ」と「せっちゃん」という
暖かい雰囲気のふたりがいて出迎えてくれました。
その時、おじじが家の奥の沢沿いにある木彫りのふくろうのところへ案内してくれて
なぜかそのふくろうに出会って胸がいっぱいになり
帰り道は車で友達とふたり涙しました。
今でも覚えている、そんな印象深いふたりとの出会い。
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あれから3年。
杜の家へ遊びに行くといつも何かご馳走してくれたり
最近ではせっちゃんの作るお菓子やパンをよくいただいていました。
おでんをご馳走になりに行ったらお鍋3個分のおでんが用意してあったり!
食べ過ぎて調子が悪くなったり・・・(笑)
美味しいご飯屋さんや秋になって新そばが入ったら
おそば屋さんへ行こうと約束して楽しみにしていました。
先日ブログで紹介した卵屋さんのオムライスへも
おじじは毎週通っていて常連さんでした。
一見怖そうな雰囲気や存在感のあるおじじですが
笑うととてもかわいらしく、自慢の焼き芋を
「うまいぞ」と言っていつも焼いてくれました。

一ヶ月前の10月26日満月の日は宮之浦でもり祭りが行われ
どのイベントにも必ず参加していたおじじも来ていました。
久しぶりに会ったことをとても喜んでくれて
「せっちゃんのロールケーキを食べに来い!」と
元気なとびきりの笑顔で言ってくれました。

そして、それがおじじと話した最後の言葉になりました。

翌日の午前中、おじじが倒れたとせっちゃんから連絡があり
急いで病院へと向かいました。夜中に一度心肺停止があったようで
それからずっと意識はなく集中治療室に入っていました。

それから数日間、仕事を休ませてもらい
せっちゃんと病院で待ちました。
ただただ祈って待つばかりでした。
聴覚はあるだろうからよく話しかけるといいよ、と友達に教えてもらい
たくさん、いろんな話をしたり歌を唄いました。
きっと今少しずつおじじのペースでゆっくり歩いて
私たちの方へ戻ってきている、あと少し。がんばって。
おそば屋さんへも行ってないし
約束していた居酒屋さんにも行ってない。
まだまだたくさん楽しいことをしようよ、と。

時々おじじの目からは涙がこぼれ落ちました。
きっと声は届いている。祈りは届いている。
そう信じて祈りました。
あんなに集中して祈ったことは初めてだったと思います。


でも、31日の早朝におじじは旅立ちました。
「なぜ?」と始めは信じたくなくて、
祈ったのに届かなかった、おじじは私たちのところへ戻ってくることを
選ばなかった・・・・と認めたくありませんでした。
でも、せっちゃんも一緒にいた友達も
旅立つことをおじじが選択したこと、体はなくても魂はここにあること。
おじじはこれからずっと私たちと共にここにいること・・。
少しずつかみしめて、お通夜もお葬式も笑顔で迎えました。
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きっと笑顔でいることを誰よりもおじじが一番に望んでいたのだろうと思います。
式には若い人から高齢の方まで多くの人が来てくれました。おじじの好きなものを飾り話をして歌を唄って・・。
知っているおじじ、知らなかったおじじ。
いろんな顔が見えるようでした。


・・あっという間に時は経ちあれからもう一ヶ月です。
今月も満月はきれいに輝いていました。

お葬式から二週間後、ナイトハイクの帰り道
道に何か動くものがいる・・・と思って車を近づけるとふくろうでした。
飛びだったもののすぐ近くの木に止まりそこからずっと動かずに
こちらをじっと見ていました。屋久島でふくろうを見たのは初めてで
あぁきっとおじじだ、となぜか自然にそう思いました。

きっとこれからもずっとおじじは杜の家にいて
せっちゃんや私たちを見守っていてくれている。
とても貴重な時間を過ごした日々でした。
ありがとう、おじじ。
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by office-manatsu | 2007-11-29 14:57 | 旧スタッフ
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