<   2010年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

落ちた花から広がる世界。

最近屋久島では、外国人旅行者の姿をよく見かけます。
オフィスまなつでも4月は外国人のお客様のツアー参加が多く、私も何組かご案内させていただきました。

その中でのある一組をお連れした時のこと。
参加者の方はオーストラリアとデンマークの出身で、日本語は全くわからない人たちでしたが、日本人の通訳さんが間に入ってくださっていたので、私もなんとかコミュニケーションをとることができました。

c0061008_821886.jpg

その日は雨の翌日で、しっとりと湿った苔の上に、たくさんのリンゴツバキの花が落ちていました。

花の赤、苔の深い緑。
その色彩のコントラストと、花の無造作に散らばる様子が息を呑むほど美しく、お客様にそれを指し示したところ、反応がいまいち・・・。

通訳さんはすかさず私に耳打ちしてくれました。
「こういう侘び寂びの感覚があまりわからないのです。」と。

なるほど〜。侘び寂び!
花といえば、咲いている状態を愛でるのが普通で、落ちているものは鑑賞の対象にはならない。と。

ひとりひとり感性が違うので、「外国人」「日本人」とひとくくりにしてしまうのは、大変乱暴なのですが、やっぱり文化が違えば、ものの見え方感じ方も違うのですね。
自分には当たり前になってしまっていた感覚を、改めて見直す良い機会になりました。

いま屋久島の森の中は、他にもサクラツツジやヒカゲツツジ、ハイノキなどの花があちこちで咲くと同時に、足元にもたくさん落ちています。

そのツアーでも、その後もいろいろな花びらが落ちていて、私が紹介すると手に取ったり写真を撮ったりしていましたが、一体どんな風に彼らの眼には映ったのでしょうか。
c0061008_831653.jpg

私が英語がペラペラだったとしたら、一体どんな風に侘び寂びを説明するかしら・・・と考えてみましたが、やっぱりこればかりは言葉でそのものを伝えられるものではなく、過去未来も含んだその場の空気感などが、受け取る側の感性にピタッとはまった時、直接伝わるのだろうなあと感じました。

ものの感じ方は本当に十人十色。
同じものを見ても、私の感じ方と相手の感じ方は違って、その違いがまたとてもステキだと思うのです。
そういう違いがこうして多種多彩な文化や表現を生んできたのですね。

ガイドは主に言葉を介して自然を伝えますが、そこで伝わる事ってほんの一部で、その何十倍、何百倍のものが受け取る人の心に自然から直接伝わっているのだろうな、と思うと、そこから広がる果てしない世界を感じてワクワクします。
by office-manatsu | 2010-04-27 17:52 | 旧スタッフ

縄文杉一泊二日トレッキングキャンプにて・・

こんにちは、古賀です。
屋久島は雨と晴れの日がくるくると交互に繰り返され、確実に季節が進んでいます。

オフィスまなつのツアーメニューで縄文杉一泊二日トレッキングキャンプという
メニューがあります。
今年に入り縄文杉一泊二日トレッキングキャンプを何回か担当しましたが、
私が担当する時はキャンプ2日間の内、1日は雨でもう1日は晴れという天候
が多いです。屋久島は雨の日が多いですので、晴れの日はとても貴重です。

貴重な晴れの日の楽しみのひとつが夜空に輝く星を写真で撮ることです。
最近のデジタルカメラは性能がとても良くなったので気軽に星の写真を
撮ることができるようになっています。
夜空は、昔の人間が見た風景とほぼ変わらないものなので最近すごく
惹かれています。

写真家の杉本博司が昔「海景」というシリーズを発表したのは「海を最初に
見た人間はどのように感じたのか」ということがテーマだったらしいのですが、
昔と同じような風景を現代の人が見るとどう感じるかというのは面白いテーマだと
思っています。

先日のキャンプツアーできれいな星景写真(夜空と風景が一緒に写っている写真)が
撮れました。皆さんはこの写真をみてどのように感じますか?
(下の画像をクリックすると大きめな画像になります)
c0061008_15515155.jpg

by office-manatsu | 2010-04-18 15:47 | 旧スタッフ

春のかさね。

c0061008_1618876.jpg

若苗(わかなえ)、柳(やなぎ)、青丹(あおに)、萌黄(もえぎ)、松葉(まつば)、老竹(おいたけ)、山葵(わさび)、裏葉柳(うらはやなぎ)、苔(こけ)、常磐(ときわ)、夏虫(なつむし)、木賊(とくさ)、翡翠(ひすい)・・・などなど。

これらの名前を見て、頭の中にどんなものが浮かぶでしょうか。
これは、日本に昔から伝わる伝統色のうち、緑色系統につけられたそれぞれの色の名前です。

すべて自然の中にあるものから名前がつけられていますが、緑色系統だけで何十色もあり、日本人が四季の巡りの中でどれだけ繊細に自然を見つめてきたかが、ここに現れています。

たとえば、裏葉柳とは、柳の葉っぱの裏側の色の事。
柳の葉を手に取り、表と裏を見比べて「いとをかし!」と言ったかどうかは知りませんが(笑)、色の美しさに感じ入っているその表情まで目に浮かび、そんな感性に「いとをかし!」です。

また、昔の人々は、着物の裏と表や、襟元や袖口、裾などから覗かせる布地に、季節ごとの花の彩りや木の葉の色合いなどになぞらえて「かさね」と呼ぶ季節の配色を楽しんだそうです。

たとえば「若草」というかさねは、淡青(うすあお)と濃青(こきあお)の組み合わせ、「桜萌黄」というかさねは、萌黄(もえぎ)と赤花(あかばな)の組み合わせ、
などなど、配色そのものにも名前をつけ、繊細に着こなすのが、当時のモード最先端だったのでしょう。

「かさね」の参照↓
かさねの色目一覧〜春のかさね
c0061008_1617158.jpg

c0061008_16153520.jpg

いま、屋久島の山肌はまさに「春のかさね」の色世界が繰り広げられています。

そこには「緑」と一言では言い切れない様々な緑色があります。
薄い緑から濃い緑、赤味がかった緑、黄味がかった緑、青味がかった緑。
それら多彩な緑のモコモコに混じってサクラツツジの薄ピンクやクロバイの白、スダジイの黄色の花などがあちらこちらに彩りを添えます。
c0061008_16122963.jpg

現代の、そして屋久島の、春のかさね。
日に日に移ろい行く自然の色を、自分の好みに配色してかさねの名前をつけ、生活や服装に取り入れてみるのも、いとをかし、で楽しいかもしれませんね。
by office-manatsu | 2010-04-13 15:53 | 旧スタッフ